就職活動を始めたばかりの皆さんにとって、「業界」「職種」といった用語は混乱しやすいものかもしれません。特にエントリーシート(ES)で「志望業界と志望職種」を問われた際、「違いがよく分からないまま書いている」という方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ES対策の土台となる「業界」と「職種」の明確な違いと、それぞれに属する代表的な仕事の具体例を解説します。この基本を理解することで、志望動機に一貫性が生まれ、内定に近づくESが書けるようになります。ぜひ、ご自身のキャリア選択の参考にしてください!
▼目次
就職活動を進める上で、業界と職種は全く異なる概念であることを明確に理解することが重要です。
まず、業界とは、「企業がどのような事業やサービスを通して利益を得ているか」という切り口での分類です。
例えば、自動車を作るのは「メーカー業界」、その自動車を海外に輸出するのは「商社業界」といったイメージで、「何の事業をしているか」を示します。
一方、職種とは、「企業の中で具体的にどのような役割を担い、どんな業務を行うか」という切り口での分類です。例えば、自動車メーカーの中でも、顧客に車を売るのは「営業職」、新しい車のデザインを考えるのは「技術・開発職」となります。
つまり、どの業界の企業に入っても、「営業職」や「企画職」といった職種は存在し、「どんな仕事をするか」を示します。
ここでは、特に大学生の皆さんに人気が高く、代表的な業界の分類と、その業界の仕事が社会でどのような役割を担っているかを解説します。
全体像: 原材料の調達から、製品の企画、開発、製造、販売までを一貫して行います。
具体例: 自動車、家電、食品、アパレル、化学、医薬品など、形のあるもの・ないものに関わらず、独自の製品を作り出している企業が該当します。
全体像: 国内外の企業を結びつけ、モノやサービスの取引を仲介したり、大規模な事業投資を行ったりすることで、経済活動を円滑にします。近年では、東南アジアやアフリカのベンチャー企業を買収して、現地でのビジネスをダイナミックに動かすことが多いです。
具体例: 総合商社(多岐にわたる分野)、専門商社(鉄鋼、化学品など特定分野に特化)などがあり、グローバルな仕事が多いのが特徴です。
全体像: 資金の融通、運用、管理を通じて、企業や個人の経済活動を支える業界です。
具体例: 銀行(預金・融資)、証券会社(株式・債券)、保険会社(生命保険・損害保険)などがあります。
全体像: インターネットやソフトウェア、通信技術を駆使して、社会に新しい価値や利便性を提供する業界です。
具体例: ソフトウェア開発、インターネットサービス(SNS、ECサイト)、通信キャリアなどが含まれます。技術革新のスピードが非常に速いことが特徴です。
全体像: 人々の生活に密着したサービスを提供したり、社会の基盤(インフラ)を構築・維持したりする業界です。
具体例: 鉄道、電力、ガス、航空、旅行、教育、小売、飲食など、生活に欠かせないものが多く含まれます。
全体像: 企業の商品やサービスを、生活者に認知・理解させ、購買行動を促すために、最適な戦略とクリエイティブを企画・実行する業界です。市場と生活者、企業を結びつけ、商品や企業の価値を最大化する役割を担います。
具体例: テレビCM、Web広告(リスティング・SNS広告)、交通広告、イベントプロモーション、PR、ブランディングなど、媒体や手法によって多岐にわたります。
全体像: 企業の経営課題や社会が直面する複雑な問題に対し、専門的な知識と論理的な思考力を用いて分析し、戦略の立案から実行・定着までを一貫して支援することで、顧客の変革と成長を実現する業界です。
具体例: 戦略(戦略立案)、IT(システム導入・DX支援)、人事・組織(組織変革、人材育成)、財務(M&A・事業再生)など、顧客の課題領域や専門分野によって多岐にわたります。
次に、どの業界でも基本的に存在する、主要な職種とその役割について見ていきましょう。志望動機では、「なぜその職種で貢献したいのか」を明確に伝えることが求められます。
仕事内容: 自社の製品やサービスを顧客に提案し、購入してもらうための活動全般を担います。単にモノを売るだけでなく、顧客の課題をヒアリングし、解決策を提供する「課題解決型」の営業が主流です。
求められる力: コミュニケーション能力、目標達成意欲、粘り強さ。
仕事内容: 市場のニーズやトレンドを分析し、「何を」「誰に」「どう売るか」という戦略を立てる役割です。新製品・サービスの企画立案や、プロモーションの実行なども行います。
求められる力: 論理的思考力、データ分析力、創造性。
仕事内容: 製品やシステムを設計し、実際に作り上げる役割です。メーカーでは製品設計、IT企業ではソフトウェア開発(エンジニア)などがこれにあたります。
求められる力: 専門知識・スキル、問題解決能力、集中力。
仕事内容: 企業活動を円滑に進めるための裏方業務を担います。
人事: 採用、育成、評価
経理: 資金管理、決算
総務: 備品管理、オフィス環境整備
求められる力: 正確性、法令順守意識、調整力。
採用担当者を納得させる志望動機は、【業界への共感】と【職種での貢献意欲】を、あなたの具体的な経験と結びつけたものです。以下ではより採用担当者に納得してもらうための志望動機の書き方をご紹介します。
あなたが志望する「その業界でなければならない理由」を明確に示しましょう。業界の事業が解決しようとしている社会的な課題や、提供している価値を深く理解し、その使命を自分も担いたいという視点を盛り込むことが重要です。
「日本の経済活動の根幹を支える銀行業、特に地域経済に深くコミットする貴行の姿勢に強く共感しています。学生時代、〇〇地域の活性化ボランティアに参加した際、地元企業の現状を知り、『信用創造を通じて企業を長期的にサポートする』という銀行の役割の重要性を痛感しました。この経験から、私も地元企業の伴走者として、金融の力で地域経済の発展に貢献したいと考えております。」
「技術が社会の『不便』を一瞬で解消するスピード感を持つIT業界に魅力を感じています。特に、御社が提供するSaaSのように、顧客の業務効率を根本から変革し、継続的な価値を提供し続けるビジネスモデルに強く惹かれました。私は、常に新しい技術を学び続け、社会に変革をもたらす最前線で働きたいと考えております。」
志望する職種であなたが活躍できる根拠と、入社後にどうなりたいかを具体的に示します。結論として職種での貢献を述べた後、その職種に求められるスキルを過去の経験を通じて具体的に示し、最後に入社後のキャリアビジョンを伝えます。
「貴社において、製品の価値を最大限に引き出す企画・マーケティング職を志望いたします。大学のゼミで〇〇に関する市場調査を行った際、データ分析に基づいた戦略立案の重要性を学びました。特に、インターンで培った顧客ヒアリングスキルを活かし、潜在的なニーズを掘り起こし、革新的なプロモーション戦略を通じて貴社の市場シェア拡大に貢献したいと考えております。」
「私は、自身の強みである粘り強い課題解決能力を活かし、法人営業職として貴社に貢献したいです。学生時代の接客アルバイトでは、お客様のニーズを深掘りし、売上目標を常に120%達成してきました。貴社の高機能な製品を、お客様一人ひとりの経営課題に合わせて最適に提案することで、単なる売買に終わらない、長期的な信頼関係を築けるビジネスパートナーを目指します。」
内定獲得に最も有効なのは、「なぜその業界で、その職種をやりたいのか」という両者の接点を深く掘り下げた志望動機です。
これは一朝一夕で掘り下げることができるものではありません。実際に企業で働く社員の姿を見たり、長期インターンシップで実務を経験したりすることで、初めて解像度が高くなるものです。あなたのESにも、ぜひ具体的な経験を盛り込み、説得力のある志望動機を完成させましょう。
「食を通じて人々の健康を支えるという食品メーカーの使命に共感しています。中でも貴社の『機能性食品』の開発職を志望するのは、大学院で研究してきた発酵科学の知識と、粘り強く実験を繰り返す力が、健康志向が高まる社会で求められる新製品開発に直接活かせると確信しているからです。安全と品質を担保しながら、社会に新しい食の価値を提案したいと考えています。」
「地球規模でビジネスを動かし、日本と海外の架け橋となる総合商社のダイナミズムに魅力を感じています。貴社の海外営業職を志望するのは、留学経験で培った多文化間での交渉力と、長期インターンでの新規事業立ち上げ経験で得たリスクテイク能力が、新興国における資源開発という難易度の高いビジネスを成功に導くために最適だと考えるからです。日本の技術と世界のニーズをつなぎたいです。」
ここからは、先ほどの例文に加えて、ESで採用担当者の心を掴むために役立つ、業界別・職種別の具体的な例文をご紹介します。
「日本の高い技術力を世界に届けたいという思いからメーカー業界を志望します。特に貴社が誇る〇〇技術は、産業界の非効率を根本から解決する力があり、その社会貢献性の高さに強く共感いたしました。」
「地球規模のビジネスに挑戦し、まだ見ぬ価値を創出したいという思いから総合商社を志望します。国境や分野を越えて事業を『つくる』ダイナミズムは、私の持つグローバルな視点とタフネスを活かす最高の舞台だと確信しています。」
「経済のダイナミズムを間近で感じ、企業や個人の成長を支援したいという目的で証券業界を志望します。リスクテイクを可能にする資金供給を通じて、日本経済の新たな胎動に貢献したいと考えております。」
「生活の『不便』を技術で一瞬にして解消するスピード感を持つIT業界に強く魅力を感じます。特に貴社の『ユーザーファースト』の思想は、長期インターンで培った顧客分析力を活かし、革新的なサービス開発に携わりたいという私の目標と合致しています。」
「人々の日常生活と社会の基盤を安全かつ安定的に支えるインフラ業界の使命に共感しています。特に貴社の災害対策への取り組みは、地域社会への責任感が非常に強く、私もその一員として公共性の高い仕事に貢献したいと考えております。」
「私の強みである傾聴力と粘り強さを活かし、法人営業職として貴社の売上拡大に貢献いたします。顧客の潜在的な課題を引き出し、製品を通じて長期的なビジネスパートナーとなることで、貴社のファンを増やすことに注力したいです。」
「データに基づいた論理的な戦略立案を通じて、製品の価値を最大限に引き出す企画・マーケティング職を志望します。長期インターンでの市場調査経験を活かし、顧客ニーズを深く理解したヒット商品の創出に貢献したいです。」
「大学で培った〇〇言語の専門知識と、チームでの問題解決能力を活かし、技術・開発職として貴社のイノベーションを牽引したいです。常に最新技術を学び続け、ユーザー体験を変革するようなシステム開発に情熱を注ぎたいと考えております。」
ES作成のための自己分析や企業研究は当然重要ですが、それだけでは深い職種・業界理解には繋がりません。なぜなら、机上の情報だけでは、実際の仕事の「リアリティ」が掴めないからです。
ES対策の質を格段に高めるためには長期インターンシップを強く推奨します。長期インターンは、単なるアルバイトとは異なり、社員と同じ目線で実務に携われるため、お金を稼ぎながら、将来のキャリアに直結する経験を積むことができます。
また業界の肌感と成長環境を実体験として理解でき、優秀な社員や経営者から指導を受ける機会も多く、高いビジネススキルを早期に構築できます。
2018年のサービス開始以来、Intern Streetで蓄積してきた長期インターンに関する情報を1冊にまとめました。
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長期インターンは、一定の時間を投下してビジネス的成長を得る究極の「自己投資」です。そのため自分に合った長期インターンを選ばないと、狙った成果が得られません。
長期インターンを募集する企業は年々増加しています。その中から“自分に本当に合う企業”を自力で見つけるのは、実はとても難しいものです。
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【Intern Streetの面談でできること】
・目的や希望条件を丁寧にヒアリングし、自分に合う長期インターン先の提案
・志望動機の言語化や選考に進む企業ごとのチューニング
・これまでの経験に応じてレベルを合わせた長期インターン先の紹介
・過去の長期インターン生の経験や工夫の共有
・通常必要なESの代理執筆と選考フォローアップ
・長期インターン選考がうまく行かない際のサポート
自分に合うインターン先を見つけるには、正確な情報と第三者の視点が必要です。迷ったとき、不安なときこそ、私たちと一緒に一歩踏み出してみませんか?