【例文付き】エントリーシートの挫折経験には何をどう書けばいい?|挫折経験が問われる理由、挫折エピソードの考え方、相手に伝わる書き方を徹底解説

ESの質問の中でも、特に「挫折経験」は多くの学生が悩む項目ではないでしょうか。「自分には特筆すべき大きな挫折がない」「正直に挫折を書くと、ネガティブに評価されてしまうのではないか」と手が止まってしまう方も少なくありません。

選考担当者がESで求める挫折経験は、「人生のどん底エピソード」「失敗談」ではありません。厳しい環境に置かれた際に、どうやってその状況を打開したか、その際の思考力、行動力、そして精神力を見極めたいと考えています。

こうした点を踏まえ、この記事ではESで評価される挫折経験とは何かを定義し、皆さんが持つ日常の経験の中から「評価される挫折ネタ」を見つけ出す具体的なステップを解説します。

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エントリーシートで質問される「挫折経験」とは? 人事が求める核心を理解する

ESの「挫折経験」を効果的に書くためには、まず企業がこの質問を通じて何を知りたいのか、その核心を理解する必要があります。

挫折経験=「目標未達を乗り越えたプロセス」を示すストーリー

人事が挫折経験を聞く目的は、あなたが「困難に直面したときに、どのような課題設定を行い、どのような行動を通じて乗り越えたか」という思考・行動プロセスを知ることです。仕事は予期せぬ困難や目標未達の連続であり、その度に立ち止まるのではなく、自ら考えて行動できる人材を企業は求めています。

したがって、ESに書くべきは、挫折した事実そのものではなく、困難の程度にかかわらず、あなたが自ら設定した「高い目標」に対して真剣に向き合い、失敗や壁を乗り越えるために努力・工夫したストーリーです。

挫折経験と「失敗談」の決定的な違い

挫折経験と「失敗談」は混同されがちですが、人事の評価軸から見ると明確に異なります。

単なる「失敗談」: 目標に対する反省や後悔で話が終わってしまうもの。原因分析や具体的な次の行動がなく、「頑張りが足りなかった」などの精神論に終始するもの。
例:テスト勉強を怠り、単位を落としてしまった。

評価される「挫折経験」: 目標達成のために明確な行動と工夫を行ったが、結果が出ず、そこから本質的な課題を学び取り、次に活かす行動に繋げたもの。つまり、失敗から立ち直るための行動と成長が含まれているもの。
例:サークルの大会で優勝するために戦略を練り、練習を工夫したが、惨敗。その悔しさから、敗因をデータ分析し、次期リーダーに具体的な改善策を引継いだ。

重要なのは、「目標達成のために本気で取り組んだが達成できなかった/壁にぶつかった事実」と、「それを乗り越えようとした主体的な行動」です。

大学生が陥りがちな「挫折経験が見つからない」の壁を壊す方法

「サークルもバイトも平穏で、挫折なんてない」と感じる人もいるかもしれません。しかし、それは「挫折」を過度にドラマチックなものだと捉えすぎていると言えます。

先にも述べた通り、エントリーシートにおける挫折とは「目標未達を乗り越えたプロセス」を示すストーリーです。
目標を達成できなかった経験が無い方はいないでしょう。

基本的には、自分のなかで印象に残っている目標達成できなかった経験・そこから目標達成に向けて努力した経験を書けば、どのようなレベルでも構いません。そこでこのセクションでは、日常的な経験の中から、評価される挫折ネタを見つけ出す方法をご紹介します。

ステップ1:「目標を上回る結果」が出なかった経験を洗い出す

まず、大学生活で「自分なりに設定した目標」や「周囲からの期待」に対し、結果が「目標を上回らなかった」経験をリストアップしてみましょう。

例:
・大学入試で第一志望の大学に合格できなかった
・部活やサークルなどで思うような結果が出なかった
・リーダーとして組織やチームを率いようとしたが思った通りにまとめられなかった

この際選定するエピソードは、成功・失敗が評価しやすいものを選ぶと楽です。勝った負けた・成功した失敗した、目標数値を上回れた・下回った、というエピソードの方が、読み手はイメージしやすいですし、その後どう乗り越えたかが語りやすくなります。

ただし無理に分かりやすさにこだわる必要はありません。自分のなかで強烈に印象に残っている挫折エピソードがあれば、そちらを使いましょう。

ステップ2:「理想と現実のギャップ」に揺れた感情を深堀りする

次に、ステップ1で洗い出した経験に対し、「目標が未達だったとき、あなたは具体的に何に悩み、どう感情が動いたか」を深掘りします。

「自分の努力が足りないと感じた」「チームをまとめきれなかったことに悔しさを感じた」「自分のやり方が通用しなかったことに愕然とした」など、理想と現実のギャップが大きければ大きいほど、挫折のつらさを感じやすくなりますし、その感情が次の解決にむけた行動の原動力となります。

「もう辞めてしまおう」と思うほどのネガティブな感情を思い起こしてください。

ステップ3:どのような改善策をとったかを書く

最後に、挫折を乗り越えるために「具体的な行動」を取ったかを確認します。この行動こそが、単なる失敗談を「挫折経験」に変える鍵です。

この際にはできる限り、行動を具体的に書きましょう。「反省した」「自分の行動を改めた」レベルでは不十分です。特に自分の行動のどの部分をどのように変えたかを、誰が読んでも一発で理解できるくらい詳しく書きましょう。

例:
・自分一人でチームに関する悩みを抱え込むのをやめて、月に1回はメンバーを食事に誘って悩みを打ち明けるようにした
・自分で考えた勉強方法をやめ、参考書や過去問の使い方、インプット・アウトプットの順番、ノートの取り方、予習の仕方などを、合格した先輩のやり方を徹底的に真似した
・サークルの存在意義に共感してもらえるよう、サークルで開催するイベントに何度も招待し、そこへの協賛がどのように良い影響を与えているかを肌で感じてもらった
・大きな目標にいきなり取り組むのではなく、目標を達成しやすいレベルにまで分解し、一つ一つクリアすることで意欲を保ちつつ、確実に進めた

このプロセスを通じて、「目標達成のためには、意識の変化だけでなく、客観的な分析や周囲との連携といった構造上の変化が必要だと痛感した」といった学びを得たということを主張できると良いです。

挫折経験を魅力的に伝えるための必勝構成(STARの法則)

挫折経験を論理的かつ説得力を持って伝えるためには、「STARの法則」と呼ばれるフレームワークを用いるのが最も効果的です。

STARの法則とは、状況(Situation)、課題(Task)、行動(Action)、結果・学び(Result)という4つの頭文字をとったものです。この順番でエピソードを書くことで、読み手に自分の努力や学びを効果的に伝えることができます。

挫折の「状況」(Situation):達成すべき目標や置かれていた環境

記述の目的: 読み手にあなたが挑んだ「難易度」と「状況」を具体的にイメージしてもらうことです。

盛り込むべき要素:
・いつ、どこで、誰と活動していたか(例:大学2年次の体育会テニス部の副キャプテンとして、など)。
・活動におけるあなたの役割(例:新入部員への指導担当、など)。
・最初に設定されていた目標(例:春のリーグ戦でAブロック昇格を目指していた、など)。

ポイント: 目標が高ければ高いほど、その後の挫折の深さが際立ちます。具体的な数値や期限を用いて、状況を簡潔かつ明確に伝えましょう。

挫折の「課題」(Task):なぜ目標達成に至らず、挫折したと感じたのか

記述の目的: あなたが目標達成に向けて真剣に取り組んだにもかかわらず、なぜ壁にぶつかったのかを明確にし、その壁に対してあなたが抱いた感情(挫折感)を伝えることです。

盛り込むべき要素:
・目標達成のために最初に行った行動(例:厳しい練習メニューを組んだ、など)。
・その行動の結果、何が目標達成の妨げになったのかという具体的な課題(例:練習が厳しすぎ、部員のモチベーションが低下し、欠席者が増加した)。
・その結果、あなたがどのような「理想と現実のギャップ」に直面したか(例:自分のリーダーシップのあり方や、目標達成へのアプローチが通用しないことに、強い無力感と挫折感を覚えた)。

ポイント: ここでは「自分はダメだった」という反省で終わらせず、「なぜこの課題に直面したのか」を客観的に自己分析する姿勢を見せることが重要です。

挫折の「行動」(Action):乗り越えるために主体的に行った工夫と行動

記述の目的: 挫折を乗り越えるために、あなたが「何を考え、どのように具体的な行動を改善・実行したか」、つまり再現性のある問題解決能力を証明することです。

盛り込むべき要素:
・課題を解決するために「考え方」をどのように変えたか(例:一方的な指導ではなく、傾聴から始めようと決意した)。
・その考えに基づき、「具体的に行った工夫や行動」(例:全メンバーと個別面談を実施し、練習に対する意見を徹底的にヒアリングした。また、練習後のフィードバック時間を週2回設けた)。

ポイント: 「頑張った」「努力した」といった精神論ではなく、目標達成に必要だと考えた具体的な行動とその「理由」(なぜその行動を取ったか)を論理的に繋げることが、説得力を高めます。

挫折の「学び」(Result):その経験から得た再現性のある成長

記述の目的: 挫折経験を通じてあなたがどのように成長し、その学びが今後、入社後の業務にどう活かせるかを示すことです。

盛り込むべき要素:
・最終的な結果(目標達成の有無にかかわらず、行動の結果として何が変わったか)。
・この経験を通じて得た「本質的な気づき」や「スキル」(例:「目標達成には、トップダウンで引っ張る力だけでなく、ボトムアップで組織の意見を吸い上げる双方向のコミュニケーションが不可欠である」と学んだ)。
・その学びが、入社後に困難に直面した際にどのように貢献できるかという未来への接続。

ポイント: 成功体験で終わらせず、「この経験から得た課題解決のアプローチは、貴社での〇〇といった業務でも活かせます」と、入社後の貢献可能性に言及することで、ES全体に説得力が増します。

ESで評価される挫折経験の例文

ここでは、大学生が経験しやすい活動テーマに基づき、先ほどご紹介したSTARの法則に沿って構成した挫折経験の例文をご紹介します。

例文1:サークル活動での挫折(リーダーシップと組織運営)

大学2年次、地域ボランティアサークルのリーダーとして、メンバーの参加率が前年比で20%も低下している状況に直面しました。目標は参加率を30%回復させることでした。
私はリーダーとして、ボランティアの「意義」を熱く語ればメンバーが動くと信じ、活動の重要性ばかりを強調しました。
しかし、結果は状況の改善に至らず、逆にメンバーから「説教くさい」「自分の予定を無視される」と反発を受け、自分のリーダーシップが独りよがりな理想論に過ぎないと痛感し、強く挫折を覚えました。
私はまず自分の考えを押し付けることを止め、メンバー全員との1対1の面談を実行しました。ヒアリングの結果、メンバーは「活動内容そのものより、参加のハードルの高さ(場所、時間)」に悩んでいることが判明しました。そこで、活動時間を短縮し、オンラインで参加できるタスクを新設するなど、メンバーのニーズに基づいた具体的な改革を実行しました。
結果、参加率は目標を上回る35%の回復を達成できました。この経験から、「人は理想論ではなく、現実の課題を解決する具体的な施策と、自分の声を聞いてくれる姿勢によって初めて動く」という、ボトムアップ型の組織運営の重要性を学びました。この学びは、入社後のチーム連携においても活かせると確信しています。

例文2:アルバイトでの挫折(目標達成と戦略の見直し)

大学1年次から続けている居酒屋アルバイトで、新商品の「季節限定メニュー」の販促リーダーに任命され、「期間内での店舗売上20%アップ」を目標に掲げました。
目標達成のため、私はメニューの内容を暗記し、積極的に声がけを行いました。しかし、2週間経っても売上は全く伸びず、他のスタッフの目標達成率と比較し、自分の努力だけでは結果が出ないという現実に直面し、大きな悔しさと挫折を感じました。特に、ベテランスタッフとの間の結果の差が埋まりませんでした。
私は挫折を教訓に、ベテランスタッフの行動を徹底的に「観察」し、「言語化」する分析を行いました。その結果、ベテランスタッフは単に声がけをするだけでなく、「顧客の注文傾向や表情を見て、最適なタイミングとトーンで商品を薦めている」ことに気づきました。私は声がけの回数を追うのを止め、顧客の属性に合わせた具体的なトークスクリプトを自作し、実践しました。
最終的に店舗全体の売上は18%アップに留まりましたが、私自身の個人売上貢献度はチームトップを達成できました。この経験から、「努力の量だけでなく、データや観察に基づき、成果に直結する正しい戦略を見極める重要性」を学びました。

例文3:学業・研究での挫折(困難な課題への向き合い方)

大学3年次、ゼミの研究テーマとして、「〇〇分野における若年層の消費行動」を選定し、独自のデータ取得と論文作成を目指しました。
先行研究が少ない分野であったため、データ収集を開始しましたが、当初予定していたアンケートだけでは、想定した仮説を裏付けるデータが全く得られず、研究が完全に暗礁に乗り上げました。努力しても一向に成果が見えない状況に、「このテーマを選んだこと自体が失敗だったのではないか」と強い挫折感を味わいました。
私はまず、教授に相談して研究の方向性を「データの量」から「質」へと見直しました。そして、ターゲットとなる若年層への深掘り面談を実施し、定性的な情報を集めることに注力しました。さらに、先行研究が少ない理由を分析し、海外の研究論文を翻訳して参考にすることで、独自の分析フレームワークを構築しました。
最終的に当初のデータ収集目標は達成できませんでしたが、質的な情報に基づいた独自性の高い論文を完成させ、学内発表では高い評価を得られました。この経験を通じて、「困難な課題に直面した際でも、前提条件を疑い、柔軟にアプローチを変える力(思考の切り替え力)」が重要だと学びました。仕事においても、既存の手法に固執せず、目標達成のために最適な手段を模索し続けます。

大きな挫折経験が無いよという方へ、長期インターンという選択肢があります!

本記事を読んで「挫折経験の見つけ方は分かったけれど、ESに書けるほど深みのある経験がまだない」と感じた方へ。
そんなときこそ、長期インターンに挑戦してみることをおすすめします。

長期インターンとは、週3日以上・6カ月以上の期間、実際のビジネスの現場で働く制度です。学生でありながら正社員に近い裁量を持ち、企業の売上や事業成長に直結する業務に挑戦できます。

■深みのある「挫折と成長」の経験は、責任ある環境でこそ生まれる

サークルやアルバイトは楽しい一方で、目標設定や責任の大きさが曖昧なことも多く、ESで評価されるような“本質的な成長体験”につながりにくい側面があります。

一方、企業の現場では
・数値目標を追う
・売上や成果に直結する意思決定をする
・チームと連携して課題を解決する
といった、リアルなプレッシャーと責任が常に伴います。

だからこそ「壁にぶつかる→試行錯誤する→改善する」という、ESで最も重視される“挫折からの成長”のプロセスを自然に経験できます。

■長期インターンがESを強くする理由

長期インターンでは、
・営業目標
・新規事業の立ち上げ
・マーケティング施策の改善
など、企業のコア業務に挑戦する機会が多くあります。
そこでは、学生生活だけでは得にくい厳しい現実や責任感に向き合うことになります。それこそ、大きな挫折を何度も味わうことになるでしょう。

その中でPDCAを回し、成果に向けて行動し続けることで、ESでは
「◯◯という目標に挑戦したが、壁にぶつかった。しかし、社員の方から教わった◯◯のフレームワークを用いて改善し、成果につなげた。」
という、具体的・論理的で、“採用担当者が納得しやすい”成長ストーリーを書けるようになります。

これこそが、他の学生と圧倒的な差をつける最高のエピソードです。

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