【例文付き】エントリーシートで「協調性」を自己PRに使うには?|採用担当が見る3要素・成功例・NG例まで徹底解説

就職活動で避けて通れないES(エントリーシート)の自己PR。「協調性をアピールしたいけれど、他の学生と差がつかないのでは…」「単に『誰とでも仲良くできます』と書いても響かないのでは…」と悩んでいる学生の方は多いのではないでしょうか?

特に、成長意欲の高い皆さんは、「周りと同じ」では満足できないはずです。

この記事では、ESであなたの「協調性」を企業が求めるレベルでアピールする方法を徹底解説します。

企業が協調性から何を見ているのか、効果的な言い換え表現、具体的な構成や例文、そして他の学生と差がつく「実践で磨く協調性」の獲得方法まで、分かりやすくお伝えします。

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ESで問われる「協調性」とは何か?―単なる「仲が良い」ではなく「目標達成のためにチームを動かす力」

エントリーシートで企業が見ている「協調性」は、いわゆる「誰とでも仲良くできる」「場の空気を乱さない」といった意味とは異なります。企業が本当に求めているのは、もっとビジネス寄りの協調性です。

端的に言えば、目標達成のために、異なる意見や価値観を持つメンバーの間に立ち、建設的な調整や働きかけを通じてチームを機能させ、成果につなげる力のことを指します。

ポイントは、「人間関係が良いかどうか」よりも、どれだけ目標達成にコミットしてチームを動かせるかという点です。例えば、次のような行動は、企業が求める協調性そのものと言えます。

【行動例】
・意見の対立が起きたときに、感情論にならないよう状況を整理し、事実ベースで話し合える場を整えた
・各メンバーが「やりたいこと」「成し遂げたいこと」を丁寧に聞き出し、それらをうまく組み合わせて、チーム全員が納得できる共通の目標を設定した
・非効率な進め方に気づいたとき、「誰が悪いか」を責めるのではなく、具体的な改善案を示しながら周囲に働きかけ、より良い進め方に切り替えた
・トラブルが起きた際に、犯人探しや責任のなすりつけ合いが起きないよう、「まずは全員で状況を整理しよう」と呼びかけ、チーム全体で冷静に対処できる雰囲気をつくった
・自分ひとりで抱え込むのではなく、「この目標を最も効率的に達成するには誰の力が必要か」を考え、他メンバーを積極的に巻き込んでいった
・対立しているメンバー同士の橋渡し役となり、双方の意見の共通点を見つけながら、合意形成に向けて対話をリードした

このように、その場にいるメンバーの力を組み合わせて「最適なチーム」を主体的につくり、組織として目標達成・課題解決に向かわせていくことこそが、企業が求める協調性です。

採用担当者が「協調性」を重視する2つの理由

なぜ、ここまで「協調性」が重視されるのでしょうか。背景には、ビジネスの構造と、現代のビジネス環境があります。

【理由1】ビジネスは「専門性の違う人たちが役割分担して進める」ものだから

多くの仕事は、一人で完結するものではありません。現場では、例えば次のようなメンバーが協力して仕事を進めます。
・営業
・企画・マーケティング
・エンジニア・デザイナー
・バックオフィス など

それぞれが異なる専門性・価値観を持ち、担当している業務も違います。その中で企業が知りたいのは、
・自分の役割を理解したうえで
・他のメンバーと連携しながら
・チーム全体の成果最大化を目指せるか
という点です。


単に「個人として優秀かどうか」ではなく、組織の一員として周囲と協力しながら成果を出せるかどうかを、「協調性」という切り口で見ているのです。

【理由2】変化の激しい時代に、多様な価値観をかけ合わせる“イノベーション基盤”が必要だから

現代のビジネスは、正解が一つではありません。市場の変化も速く、前例のない課題に向き合うことも増えています。

そのような状況では、同じような考え方の人だけが集まっていても、新しい答えは生まれにくくなります。そこで重要になるのが、次のような力です。
・自分とは違う価値観や専門性を受け止める
・「なぜそう考えるのか」を背景ごと理解しようとする
・それぞれの意見の良いところを組み合わせて、第三の案をつくる

企業が求める協調性とは、多様な価値観や専門性を統合し、変化に対応できるチームをつくる力でもあります。採用担当者は、こうしたイノベーションの土台となる協調性があるかどうかを、ESを通じて見極めているのです。

ビジネスにおける「協調性」を構成する3つの要素

企業が評価する協調性は、次の3つの要素に分けて考えると整理しやすくなります。エントリーシートでアピールする際も、「どの要素が強みか」を意識すると書きやすくなります。

① 調整力・コミュニケーション力

・対立している意見や論点を整理できる
・全員が目指すべきゴールに話を引き戻せる
・感情的な対立を、建設的な議論に変えられる

ESでは、次のような言い換えが使えます。
・調整力
・折衝力
・問題解決志向のコミュニケーション能力

② 巻き込み力

・必要な人に声をかけ、協力を引き出せる
・チームが動いていないときに、自ら働きかけて動かすことができる
・「自分は関係ない」と思われがちな人も含めて、当事者にしていける

言い換え表現としては、次のようなものがあります。
・周囲を巻き込んで物事を進める力
・主体的に協力関係をつくる力
・関係者を動かす推進力

③ 組織構築力・マネジメント力・傾聴力

・メンバー一人ひとりの強みや事情を理解する
・その強みを活かせる役割分担やルールを提案できる
・「質問しづらい」「意見を言いづらい」といった、目に見えない障壁を下げる

ここでは、次のような表現が使えます。
・環境構築力
・マネジメントサポート力
・傾聴力・相互理解促進力

ESで「協調性」を効果的にアピールする3ステップ

協調性をアピールするときは、「性格のアピール」ではなく「行動のアピール」に落とし込むことが大切です。おすすめの構成は、次の3ステップです。

【ステップ1】結論:どんな協調性を、どんな場面で発揮したかを端的に書く

最初に、あなたの協調性のタイプと、発揮した状況を一文で示します。

・例)「私の強みは、意見が対立した場面で調整役を担い、チームを目標達成へと導く協調性です。」
・例)「私は、メンバー一人ひとりの思いを丁寧に聞き取り、相互理解を促すことで場をまとめる協調性があります。」

この段階で、3要素(調整力・巻き込み力・組織構築力/傾聴力)のどれをアピールするかを明確にしておくと、読み手にも伝わりやすくなります。

【ステップ2】背景・課題・行動:状況と「あなたならではの行動」を具体的に描く

次に、具体的なエピソードを説明します。ここが差別化の勝負どころです。書く際のポイントは次の3つです。

・状況と目標
 → どんなチーム(サークル・アルバイト・長期インターン・ゼミなど)で、何を達成しようとしていたのか
・課題
 → どのような対立やうまくいっていない状態があったのか
・あなたの行動
 → その状況に対して、あなたが具体的に何をしたのか
 → 「傾聴した」だけでなく、「対立する主張をそれぞれ個別にヒアリングし、背景にある思いや不安を整理した」など、行動レベルで描写する

ここで重要なのは、奇抜な経験を書く必要はまったくないということです。むしろ、
・普段のゼミ議論
・サークルのイベント準備
・アルバイトのシフト調整や新人指導
といった日常的な場面で、「無意識にやっていた協調的な行動」を丁寧に言語化した方が、現実味のある自己PRになります。

【ステップ3】結果・学び:成果と、入社後への活かし方を結びつける

最後に、「行動の結果」と「そこからの学び」をまとめます。

・チームがどう変わったのか
・最終的にどんな成果につながったのか(数字や具体的事実があるとなお良い)
・その経験から何を学び、それを入社後にどう活かせると考えているか

・例)「対立していた二つの案を統合することで、参加者満足度90%のイベントを実現できました。」
・例)「多様な価値観を尊重しつつ、共通のゴールに向けて議論を整理する力を身につけました。この力を、御社での◯◯業務における他部署との連携に活かしたいと考えております。」

協調性を効果的にアピールするコツ

協調性を伝えるには、きれいにまとめようとするよりも、あなた自身の苦労と工夫がリアルに伝わる描写が大切です。採用担当者が知りたいのは、「どんな状況で、どんな工夫をし、どんな苦労を乗り越えたか」という“生のプロセス”だからです。

特に次の観点を意識して、できるだけ詳しく書くことをおすすめします。

【意識すべき項目】
・そのチームが直面していた「目標」や「課題」は何だったか
・その課題を解決するために、どのような処置や調整が必要だったか
・その処置を行うにあたり、何を考え、どんな判断をしたのか
・自分の考えを実行するために、「誰に」「何を」「どのように」お願いしたか
・お願いした際、相手はどんな反応をし、それにどう対応したか
・その結果、チームや状況がどのように変わり、どんな成果につながったか

これらをテンプレ化して深掘りするだけで、協調性の密度が格段に高まります。少し情報過多なくらいで構いません。

「綺麗にまとめた文章」よりも、「現場での努力がイメージできる描写」の方が、協調性の説得力は強くなります。

【例文3選】経験別に見る「協調性」の自己PR

ここからは、長期インターン・サークル・アルバイトという3つの場面別に、協調性をアピールする例文を紹介します。ご自身の経験に近いものを参考にしながら、「状況・課題・行動・結果・学び」の流れを意識して書いてみてください。

【例文1】長期インターンシップでの協調性(調整力)

私の強みは、異なる視点を持つメンバー間の調整力を発揮し、チームを目標達成に導くことです。
ITベンチャーでの長期インターンにおいて、新規Webサービスの開発チームに所属していた際、この力を発揮しました。
当初、チームの課題は、「やりたいこと」と「できること」の間で意見の衝突が頻繁に起こり、議論が感情的になりがちで開発が停滞することでした。特に、エンジニアは安全性を重視し、マーケターは即時的な機能追加を求めるという構造的な対立がありました。
私はこの状況を打開するため、以下の行動を取りました。まず、メンバー全員に「今、開発が遅れることで顧客にどんな損失が生まれているか」という共通認識を持たせるため、顧客の声をまとめた資料を共有しました。次に、議論の場で、感情的な意見が出るたびに「それは目標達成に直結しますか?」と問いかけ、論点を顧客の利益に立ち返らせる調整役を担いました。これにより、対立構造から「全員が顧客のために動く」という協力構造へとチームの意識を変革することができました。
結果、開発期間を予定より2週間短縮し、最小限の機能で最速リリースを実現することができ、リリース後のユーザー定着率も目標を上回りました。
この経験から、協調性とは、目標達成に向けて議論の軸を共有し、論理的にチームを調整する能力であると感じました。この調整力は、御社で多岐にわたるステークホルダーと連携する際にも必ず活かせると考えております。

【例文2】大学サークル活動での協調性(相互理解促進力)

私の強みは、メンバー間の相互理解促進力を発揮し、多様なメンバーの力を最大限に引き出す協調性です。
大学祭で企画運営を行うサークルに所属していた際、約50名のメンバーは「イベントの質を追求したい派」と「参加者全員が楽しめれば十分派」の二つに分かれており、準備段階で衝突が絶えませんでした。特に予算や時間配分で、互いに非協力的になる状況が課題でした。
この対立を解決するため、私はまず、対立している中心メンバーそれぞれと個別に話す場を設け、「なぜその意見を持つのか」という背景にある『サークル活動に懸ける想い』を丁寧に聞き出しました。その上で、全員参加のミーティングで、「想いは同じだが、アプローチが違うだけだ」というメッセージと共に、それぞれの意見の長所を活かす「ハイブリッド案」を提案しました。
この結果、メンバー間のわだかまりが解消され、全員が自分の役割に納得して動くようになり、結果として大学祭の来場者アンケートで「満足度90%」を達成しました。この経験から、協調性とは、対立する意見を無理にまとめず、その背景にある真の想いを理解し、共通のゴールに向かうための「第三の道」を作り出す力だと学びました。

【例文3】アルバイトでの協調性(環境構築力)

私の強みは、チーム全体の働きやすさに貢献する環境構築力です。
居酒屋でのアルバイトリーダーを務めていた際、新人アルバイトの定着率の低さが課題でした。特に、ベテランと新人の間でコミュニケーションが不足しており、新人が質問しづらい雰囲気が、ミスの増加と早期退職につながっていました。
この状況を改善するため、私はリーダーとして以下の行動を取りました。まず、ベテランスタッフに対し、新人に業務を教える際に「なぜこの作業が必要なのか」という背景情報もセットで伝えるよう、マニュアルにない「指導ガイドライン」を提案し、実行してもらいました。また、業務開始前にベテランと新人が必ずペアを組み、今日の目標を共有する「バディ制度」を導入しました。
結果として、新人の質問数が増え、ミスが減少し、定着率も大幅に改善しました。この経験から、協調性とは、単に場の空気を読むだけでなく、チームの目標達成に向けて、誰もが貢献しやすい「仕組み」を自ら作り出す力であると実感しました。この環境構築力は、御社に入社後も、チームの生産性向上に貢献できると確信しております。

協調性をアピールする際の絶対NGな注意点3選

せっかくの協調性のアピールも、書き方一つで逆効果になることがあります。以下の3つの注意点を意識して、主体的な協調性をアピールしてください。

【注意点1】ただの「いい人」で終わり、主体性が伝わらない

協調性をアピールしようとするあまり、
・「リーダーの指示に従って〜」
・「皆が働きやすいようにサポートしました」
といった表現だけで終わってしまうと、「受け身で指示待ちの人」という印象になりかねません。

ESでは次のようなポイントを盛り込み、主体性を示すことが大切です。
・リーダーではない立場から、自分から調整役を買って出た
・困難な状況で、「誰かがやるのを待つ」のではなく、自らメンバーに働きかけた
・「どうすればチームが前に進めるか」を考え、実際に行動に移した

「サポートしました」「気を配りました」で終わらせず、自分の一手で状況がどう動いたかまで書けると、協調性と主体性の両方が伝わります。

【注意点2】抽象的なきれいごとだけで、行動の中身が見えない

・「チームの和を乱さないように心がけました」
・「みんなの意見を尊重しました」
といったフレーズは便利ですが、そのままだと誰が書いても同じような文章になってしまいます。採用担当者が知りたいのは、「具体的に何をしたのか」です。

次のような問いを自分に投げかけながら、文章を肉付けしてみてください。
・どのタイミングで、誰に、どんな言葉をかけたのか
・意見がぶつかったとき、どんな工夫で話し合いを進めたのか
・相手の意見を尊重するために、どんな聞き方や確認の仕方を意識したのか

抽象的な一文を書いたら、「それをやったときの具体的な場面は?」と一段掘り下げて書くのがおすすめです。

【注意点3】「何でも合わせる人」に見えてしまう書き方

「私はチームの意見に反対せず、常に周りにあわせてきました」といった書き方は、一見協調性が高そうに見えますが、企業からすると、
・自分の意見や考えを持っていない
・周囲の圧力に流されやすい
というマイナスの印象にもつながります。

企業が求める協調性は、「波風を立てない人」ではなく、「多様な意見を活かしながら建設的な合意形成を進められる人」です。
そのため、ESでは次のようなポイントを意識して書くと良いでしょう。
・必要な場面では、自分の考えや懸念点もきちんと伝えた
・他者の意見を踏まえたうえで、「両方の良さを活かす案」を提案した
・単に合わせるのではなく、「目標達成にとってベストな落としどころ」を一緒に考えた

「合わせる協調性」ではなく、「より良い答えを一緒に探る協調性」をアピールするイメージです。

協調性を「書ける強み」にする近道は長期インターン

この記事で見てきたように、企業がESで見ている「協調性」とは、単なる「仲が良い」「空気を読める」といったものではなく、
・目標達成に向けて
・異なる価値観・専門性を持つメンバーをつなぎ
・主体的な調整や働きかけを通じてチームを動かす力
といった、ビジネスの現場で必要とされる実践的な能力です。

一方で、多くの学生がこんな悩みを抱えています。
「サークルやバイトの話だと、どうしても“ほのぼのエピソード”になってしまう…」
「本当にビジネスで通用するような協調性って、どこで身につければいいの?」
「ESに書けるレベルの“濃い協調性エピソード”がない…」
こうしたモヤモヤを解消する場として、相性が良いのが長期インターンです。

長期インターンでは、
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・年齢もバックグラウンドも異なる社員・インターン生と一緒に仕事を進める
・営業・マーケ・開発など、専門性の違うメンバーと連携しながら成果を出す
といった環境がそろっています。

その中で自然と、この記事で紹介してきたような協調性の要素が鍛えられていきます。
・意見の対立を整理し、議論の軸を整える「調整力」
・必要な人を巻き込み、チームを前に進める「巻き込み力」
・メンバーが働きやすい仕組みや環境を整える「環境構築力・マネジメント力」

こうした経験は、そのままESの自己PRやガクチカ、面接でのエピソードとして使えるだけでなく、入社後の仕事の土台にもなります。

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