未来を生き抜く創造力の育て方に迫る -N高’s VISION-
新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」または「コロナ」と表記)の影響でいよいよ未来の不確実性は高まっていますが、この時代を生き抜くためには何が必要か皆様はどれほど真剣に考えたことがあったでしょうか。不確実性の高い社会を生き抜くために必要な「創造力」を育むことに真剣に取り組んできたN高等学校(以下、「N高」と表記)の考え方は今、改めて世の中から大きな注目を集めています。本イベントレポートではN高のこれまでの取り組み、ビジョン、そしてN高で働く魅力に迫ります。
プロフィール
上木原 孝伸氏
学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校 副校長
大手教育企業で講師として17年間教壇に立ち、受験指導に携わる。IT×教育の可能性を感じ、2015年に株式会社ドワンゴに入社。開校前からN高等学校のプロジェクトに参画し、2017年から現職。日本全国で生徒が学習しているネットの高校の運営という前例のないチャレンジに挑む。
沖田 翔吾氏
学校法人 角川ドワンゴ学園 N高等学校 キャリア開発部 部長
前職はコンサルティングファーム。教育には元々興味があり転職を決意、キャンパス長として組織全体のマネジメントに従事、現在はキャリア開発部にてN高生の学習プログラムを企画。N高生とコミュニケーションを取り、彼らのニーズに寄り添った学校運営を目指す。
1. N高が目指すのはネットと通信制高校の制度を駆使した未来の学校作り
●作りたいのは通信制高校ではなく、通信制高校の制度を活用した「誇りを持って通える」ネットの学校
(上木原)
N高は通信制高校というジャンルの学校ですが、従来の通信制高校を作ろうとした訳ではありません。あくまでも「通信制高校の制度」を手段として活用し、「ネットの高校」を作るために取り組んできました。
ネットの高校の強みは「個別最適」を実現出来ることです。教育の個別化は近い未来にはスタンダードになると考えています。
N高は創立当初より、マイナスのイメージがつきまとう通信制高校に、「誇りを持って通える」ことを重要なテーマとして掲げてきました。その中でも重視しているのは、
社会で生き抜くための武器が身に付くこと。そして、
優秀で高め合える友達がいる
コミュニティに出会えること。最後に、効率化により生まれる
自由な時間の中で、自分の学びたいこと/やりたいことを徹底的に究められる仕組みを提供することです。
●N高で得られる武器とは?
私たちの行動指針の一つに「生徒が社会で活躍できる武器を得て、社会へ踏み出せるよう指導にあたります」というものがあります。あえて武器という強い言葉を使っていますが、N高ではこの武器を
「社会で必要とされる即効性ある力」と
「21世紀型スキル」の2つに定義しています。
社会で必要とされる即効性ある力とは、高卒認定資格はもちろん、プログラミングやICTスキル(Adobe CC,G Suiteなど)、外国語といった力のことです。また、21世紀型スキルとは自己認識スキルや共感性スキルといった、WHOのライフスキルとACT 21の提唱する21世紀型スキルをベースにN高が独自に設けている12種類のスキルを表します。私たちのカリキュラムは全て、生徒がこうした力やスキルを身に付けられるように設計されているのが特徴です。
●豊富な課外授業、部活動を通じてネット上でも高校生活を成立させられる
(上木原)
N高の生徒は大学進学のための授業から、DTM・ボーカロイド、機械学習など
180種類以上の講座を受講し放題です。例えばプログラミングの授業は、3年後にIT企業の社員として働ける技術力を身につけられるように、現役エンジニアが担当しています。ネットの高校の良さは「個別最適」だとお話ししましたが、最高峰の先生が一人いれば、誰もがその授業を受けられるというのも大きなメリットです。
また、
リアルの課外授業にも力を入れています。「たまごの企画塾 ~養鶏の体験を通して2倍の値段の卵を企画する~」「山形県小国町でマタギ体験 命をいただくということ」といった、企業や自治体と連携した職業体験・ワークショップが用意されており、社会にどのような働き方があるのかを幅広く知ることが出来ます。
他にも、N高には
多種多様な部活動が設けられており、起業部や投資部、e-sports部などの珍しい部活もあります。Slack上のコミュニケーションルームで、全国の部員同士が繋がることのできる仕組みです。美術部には全国に500名もの部員がいますが、これだけ多くの美術部員がいる高校は他にはないでしょう。部活に限らず、一般的には多くない趣味であってもマジョリティになり、多くの友達を作れるのもN高ならではの魅力です。
●「ネットの高校」に通うという矛盾を乗り越えたのが通学コース
(上木原)
N高では年に2回生徒と保護者からアンケートを取って学校運営の改善に繋げています。その中で生徒たちから「N高だったらオンラインではなく、リアルに通学してみたい」という驚きの声がたくさんあがってきました。元々ネットの高校として始めたものをリアルに通える学校とすることはとても
矛盾している行動ではありました、しかし声があるからには真剣に取り組もう、「高校に通う」を真剣にリデザインしようということで2017年4月から通学コースを開校しました。
すると、もともとネットコースに通っていた生徒だけでなく、全日制に通うことを検討していた生徒が「通学コース面白そうだ」とN高を選んでくれるようになりました。現在は全国19キャンパス、全国の高校生のうちおよそ230人に1人はN高生と、社会に与える影響も大きくなりつつある、そのようなフェーズにN高は差し掛かっています。
2.コロナの影響で「ネットの高校に通学」の「オンライン化」という創造的破壊に迫られた
●新型コロナウイルスの影響を受け、全国に先駆けて通学コースのオンライン化を判断
(上木原)
全国の小中高は3月2日から休校、実はN高の通学コースはその2週間前にオンライン化を決断していました。判断にあたっては当然多くのリスクがあることを承知で、N高は前例のないチャレンジを積み重ね、未来の教育を創っていくミッションを体現するためにも、誇りを持ってこのオンライン化を進めて行く決断を致しました。
●「未来の学校」であり続けるために、今はオンラインでできることを突き詰め続ける
(上木原)
N高の通学コースは「ネットの高校に通う」という矛盾を乗り越えて辿り着くことが出来ました。今度はコロナの影響もあって「通学コースのオンライン化」という、更なる矛盾に現在直面しています。しかし、翻るとwithコロナのこの環境は
未来の学校を作り出していく一つの機会であるとも捉えられると考えております。オンラインでしかできないことを突き詰める、その先にオフラインで通学することの価値が改めて再定義されると考え、改めてオンライン化を覚悟をもって推進しています。そして我々の取り組み一つ一つがきっと日本中のオンライン教育の礎になると信じて取り組んでいます。
まとめますと、withコロナでのN高通学コースのミッションは、
友達作りも
泣き笑いも全て
オンラインで実現させる、そして通学解禁後にオフラインへと昇華させ、取り組みを世の中に対して発信することと捉えて現在取り組み続けています。
3. 社会は変わり、N高は変わる、その中でインターン生が得られる経験とは?
●生徒の成長支援と新しい教育を現場から創出することに挑むのがインターン生
(沖田)
具体的なインターン生の業務内容、得られる経験をご説明にするにあたり通学コースの時間割をご覧いただきたいと思います。午前中はプロジェクト型学習の授業、午後にはプログラミングを始め様々な授業があり、インターン生はこれらの授業を通じて生徒の成長を支援することがミッションとなります。
授業を通じてと言っても、ただマニュアル通り教えるのではなく、どうすれば授業を通じた学びが最大化されるか、そのためにどのようなファシリテーションやフィードバック、テーマ設定が必要かも含めて考えることがインターン生には求められます。
●自発的に考え動き、生徒を巻き込む力を伸ばせることが魅力の一つ
(沖田)
もう少し具体的に見て行きましょう。例えばプロジェクト型学習の授業「プロジェクトN」では『睡眠教育プロジェクト「睡眠不足な人々に改善提案」』など、実社会の課題に対する解決策を発見・発表することを通じて、ロジカルシンキングやプロジェクトマネジメントなどのスキルを伸ばして行きます。インターン生には授業進行者をサポートする形での各グループのファシリテーションや、成果物に対する生徒へのアドバイスを行っていただきます。
またグループディスカッションの授業では例えば「食料廃棄を抑えるためにクリスマスケーキは全て事前注文制にするべきか」など、意見が割れる実社会のテーマを題材にN高生にディスカッションをしてもらいます。インターン生にはテーマの設定、ディスカッションを通じてどのような学びを得てもらうかの設計、ディスカッションの進行を全て一人で行います。ただ闇雲に議論させるだけではダメで、そこに生徒のどのような成長があるかを考えることがとても求められます。
さらに一部の優秀なインターン生は自発的に授業のファシリテートを行うこともあります。例えば、起業をしたことがあるインターン生は起業に関する授業を、大学で機械学習を勉強している学生は機械学習に関する授業を、と言った形で各自の経験を活かして授業のファシリテートや、教材制作の一部を担うケースもあります。 優れた成果と認められた場合には、N高通学コース全体のカリキュラムの一部に反映されることもあります。以上のような業務を通じて得られる経験は別に教師を目指している人だけでなく、幅広い業界のビジネスの現場で活かすことができると確信を持ってお伝えしたいと思います。
4. 求められる姿勢は「生徒の成長が実現されるか」粘り強く考え続けること
●プロジェクトNの授業案へフィードバックするワークを通じて「生徒の成長が実現されるか」を思考し続ける難しさを体感
(沖田)
本日はプロジェクト型学習の授業「プロジェクトN」の授業案に対してフィードバックする、というワークに取り組んでいただきます。「日本の魅力を海外に発信する」をテーマにN高生に取り組んでもらう授業案をいくつか考えてみましたので、授業内容の良いところ、改善すべきところを考えてみたいと思います。
例えば「日本の文化に特化したYouTubeチャンネルを開設」をテーマとするプロジェクト計画で考えてみましょう。授業における具体的な生徒のアクションとしては、動画編集のためのAdobeソフトの勉強、グループメンバーごとに興味のあるテーマの動画撮影と投稿、投稿されたどの動画が最も視聴されたかを分析して報告発表を行う、となっています。一見すると、メンバーごとに興味のある動画撮影とすることで各々が主体的に取り組めそうな点、また視聴数を分析することでやりっぱなしでなくPDCAを回す中で学びが得られる点など、良く考えらえれています。
一方で改善すべき点は、ただ撮りたい動画をアップすれば良い訳ではなく、どのような視聴者、テーマ、伝え方にするかを授業の中で考えさせるプロセスが十分に用意されていないことが挙げられます。情報発信には必ず受け手がいることを授業を通じて生徒にどこまで思考してもらえるか、そこにこの授業ならではの学びがあるはずです。
そうした部分をワークを通して感じてほしいと思います。
●N高の長期インターンでは、「自ら考えて、期待値以上の成果を残す」思考の習慣が身に付く
面白そうと思える授業内容だとしても、真に生徒に学んでほしいこと、成長してほしいことを届けられているかを
常に考え続けることがN高のインターンではとても求められます。
このプロセスで生徒は躓くことなく取り組めるか、授業が終わった後に生徒はどのように成長しているか、我々が価値を届ける相手という意味で生徒を"クライアント"と考えた場合、彼等の期待を超えるサービスを提供できているか、このような視点で現場をイメージして最適解を思考し続けることにN高で働く魅力が詰まっています。
N高のインターンは決して先生になりたい人だけのものではありません。「クライアントの期待値を正確に把握して超えること」というビジネスの世界で活躍するために必須の力を付けたい人にこそ参加して欲しいと考えています。人の成長をサポートすることは決して容易なことではありませんが、だからこそ社会が変わる今もN高は挑戦し続けています。そしてこの挑戦に取り組む仲間をN高では募集しています。
我々の思いに少しでも共感された方、挑戦する意義を感じた方ご応募をお待ちしております。
5. withコロナ時代を生き抜くために求められる変化とは?(編集後記)
大人が決めた「ちゃんと」は最早求められない。上木原氏が度々指摘していた印象的な言葉です。
withコロナ時代においては、正解はどこにもなく、確実で間違いないこともどこにもない。だから、自分が楽しいと思えることを学び続ける、多様な価値観をお互いに受け入れ合いながら「創造」し続けることが何よりも重要とも話されていました。
未来の学校であるために挑戦し続けているN高だからこそ、withコロナ時代に必要とされる姿勢を当たり前のように育み続けていると感じられました。
本イベントレポートを読んで一人でも多くの方がN高での長期インターンに挑戦したいと感じて欲しいと思います。
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